それはおいといて
2013.6.1
電子辞書を使ったサーフィン。
本質という言葉を誰かとの会話のなかで聞く度に、
その人にとってのその言葉にはどういうニュアンスが含まれているのか
毎度毎度かなり気になりながら耳を傾けている。
わたしにとって曖昧なその単語を使うのはいつも気が引けるので
なるべく使わないようにしている。
むかし果物の断面の写真を撮っていて、
種が入っている中身の部分を撮りたいと思ったんだけど、
まっぷたつに割ったら中身というのは消滅してただの表面になってしまった。あれ?撮れない。 と思った。
そのあと果物の内と外が裏返しになった状態の立体物をつくろうと思った。
形は赤瀬川原平さんの宇宙の缶詰のようなもので
例えば、オレンジの一房を食べるときに、
食べやすいように皮をむいて身の背中の部分をぐっと押すと
ひと粒ひと粒が放射状に分かれるあの姿を型取りして透明の樹脂で形成する。
一房ずつ同じ作業を繰り返してもともと皮の中に収まっていたとおりに隣り合わせにして並べたら、
外皮を中軸に果肉が外側を向いた、突起の多い球体が完成するんじゃないかと思ったけど、作るのが難しすぎて途中で諦めた。
皮は内にあるあれこれを包んだり保護したりしながら、
自分とそれ以外を区別する境目の役割をはたしている。
その皮というものが取っ払われた状態だと中身は中身でなくなってしまうのかもしれない。
皮を剥いたオレンジの果肉一粒ずつがパラパラとほどけて、オレンジがオレンジではなくなってしまうように。
よく知る(と思っている)身近な家族や友人、恋人の
皮膚の内側にあるものが目に見えたり触れることが出来たらどうかな?どうしよう… という期待感や不安感がきっかけで
いまSPACE CADETのグループ展に出品しているものを作り始めた。
【偶有性】
ある事象を考える場合に、本質的ではなく偶然的な性質。
例えば、人間一般を考える場合、その皮膚の色のようなもの。偶有的属性。偶性。
【本質】
①あるものをそのものとして成り立たせているそれ独自の性質。例えば、動物を動物たらしめている性質。本性。
②変化常ない現象的存在に対し、その背後または内奥に潜む恒常的なもの。
この意味での本質は実態として形而上学的な存在と解される場合が多い。⇔現象。
③実存に対する語として、なんらかのものが既に存在しているという事実から離れて、そのものが「何」であるかという定義によっていわれるもの。
④フッサールの現象学の用語。独特な本質直感でとらえる形相。
【現象】
①観察されうるあらゆる事実。「自然ー」
②本質との相関的な概念として、本質の外面的な現れ。⇔本質⇔本体。
③カントの用法では、時間・空間や範疇的諸関係に規定されて現れているもの。
これは主観の構成が加わったもので、構成される以前の物自体は認識されえないとした。⇔物自体。
【物自体】
カントの哲学で、認識主観に現れた現象としての物ではなくて、認識主観とは独立にそれ自体として存在すると考えられた物。
経験の彼方にありながら、現象の究極原因・真実在と考えられるもの。
感官を触発することによって認識の素材としての感覚を生み出す。
物自体は、考えることはできても認識することはできない。⇔現象
明日はSPACE CADETの展示の最終日でもあり、
心斎橋アセンスでfernichさんの著書刊行記念のトークイベントに参加させて頂く日でもあり、
こんな長文を書いている場合ではないのだけど、
これがいわゆるテスト前に部屋の散らかりが気になるアレの大人版なのだろう。