終わりのしらせ

2013.9.11

先日父方の祖父の葬式があった。

仕事中に母親から突然電話があって、ばたばた支度を整えて
何年ぶりか分からない父方の実家に訪れた。

家の中はほとんど変わっていなくて、子供の頃泊まりに行ったときに
よく遊んだ階段の手すりとか、二階の物だらけの謎の空間とか
従兄弟たちと布団を並べて眠り、母だけ超常現象にあった部屋とか
茶の間のテレビの位置とか壁にかけてある細工の動かない時計とか、
本当にそのままだった。

年の近いいとこ達は最後に顔を合わせてからどれくらい時間が経っているのか
思い出すのが大変だった。
みんなそれぞれ30代の近辺をうろうろしていて、
顔はそれぞれの父や母にとてもよく似てきていた。

秋田のじいさんはふっくらしていて、つやつや、丸々していて
笑った顔がもうただただ可愛らしい人だった。
棺桶の中にいるじいさんに手を伸ばして、初めて顔に触れてみた。
つやつやとしていた頃には触ったことがなかった顔は、
ひんやりしていて頬の皮膚に私の手の皮膚が吸い付くようだった。
顔の肉が重力に従って落ちていてじいさんの体は目の前にあるのに、会っていないようだった。
それでも、体だけにでも再会できてほっとした。
目を瞑っているじいさんの顔を初めて見た気がした。

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